介護サービスを利用する高齢者は、身体に障害や病気を抱えて動きづらかったり、ベッドに寝たきりだったりすることも珍しいケースではない。このような状況が長引くことにで発症しやすいのが、生活不活発病と言われている。これは廃用症候群とも呼ばれ、普段から介護を必要とする高齢者によく見られる傾向がある。介護の仕事に従事するのであれば、この症状や対策についてよく理解しておくことが重要だ。
生活不活発病の発症原因を端的に言えば、日常生活で身体を極端に動かさないことにある。そもそも人間の身体は使えば使うほど、それと比例して機能や能力そして耐久性なども向上する特徴がある。このため身体を使う頻度が少なかったり全く使用しない状態が続けば、当然のごとく身体の機能や能力も低下していくのだ。それどころか精神活動や知的活動さえも低下し、日常生活の様々なシーンで支障をきたすようになる。特に高齢者の場合、既に身体の機能や能力が低下しているケースも多いため、病気療養や要介護などで安静にする期間がたとえ短くても、たちまち歩行機能が失われたり寝たきり状態になりやすい。
また生活不活発病にかかると、他の病気も併発しやすくなるのでさらに注意を要する。例えば心肺機能が低下すると肺炎を起こしたり、血圧調整機能が低下すれば起立性低血圧症、メンタル面ではうつ病や見当識障害を発症するケースもある。介護現場での対策では、普段から介護プログラムに軽い運動やレクリエーションを取り入れたり、寝たきりの利用者には体位変換しながら積極的にコミュニケーションを取るなど、常に観察と工夫が求められる。